スクールコート2種

 北国の冬の寒さは経験した者でないと分からない。岩手県で毎日のように風雪にさらされるコートの苦労と言ったら想像を絶する。雪が降ることすら稀な地域に暮らす女子生徒が着るコートは幸せだなぁとつくづく思う。それに引き換え、

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岩手県の冬は長く冷たい。そんななか、毎日通学する女子生徒を暖かく守るのはスクールコートの使命だ。盛岡白百合学園の生徒たちはセーラー服を着ているが、その上に覆い被さるコートは冬用も春秋用もロング丈が必須なのだ。

雪がほとんど降らない都会でも、主に私立女子校では指定コートがあって、季節が到来する前に購入申し込みが始まる。各家庭では「とりあえず買っておくか」という軽い気持ちで高価なコートをオーダーするが、結局はあまり出番なく卒業していく。そしてきれいなままゴミとなる。

それに比べると北国のコートは必須アイテムであり、出番も格段に多い。冬用コートは雪国の過酷な環境のなかで必死に頑張り、春になると半裏地のコートに引き継ぐ。そしてまた秋が来ると春秋用コートが引っ張り出され、やがて冬用のコートにバトンタッチする。クタクタに使い込まれたコートはタンスの中で一息ついている。