ホルトバージ国立公園(Hortobagy N.P.)

ハンガリーのホルトバージ国立公園は世界遺産に指定されていて、欧州には珍しく大平原が広がる土地だ。1000年前に、この一帯に騎馬民族がやってきて牧畜を営むようになった。その伝統ある暮らしぶりは今も受け継がれているのだが、そのなかにユニークなコミュニケーション方法がある。

長い丸太を使った独特な跳ね釣瓶(はねつるべ)式の井戸があって、その丸太の静止位置によって遠くにいる仲間に合図を送るのだ。そのひとつに、女性のスカートを跳ね釣瓶の丸太の先にぶら下げて、高く掲げるというのがある。スカートがはためいていると、「いま女性が来ているからデートの邪魔をしないで」という意味だそうだ。

TBSテレビ『世界遺産』という番組で紹介されたときは、短い丈のサーキュラースカートで、赤地に裾にラインがあり、全体に細かな白いドット柄が入っていた。そんな可愛らしいスカートが、男性の手によって跳ね釣瓶の先に引っ掛けられて、天高く掲げられる。洗濯されて干されているわけでもないのに、ゆらゆらと風に揺れるスカートがなんとも哀れに見えた。

画像:TBS『世界遺産』2018/11/25放送