衣類の入手方法は、単純に言えば、金を出して買うかタダで貰うかのどちらかだ。
いわゆる昭和の時代(戦後)は店頭で購入するというのが主流で、やがてTVショッピングやカタログショッピングなどの通販形式が売り上げを伸ばしていく。また、リサイクルマインドの高まりに伴い、休日に開催されるフリーマーケットなどで個人が自分の所有物を販売する機会も出てくる。
現在では、インターネットの普及により、オンライン形式による非対面型での購入がかなり広まっている。同時にネット上でのオークション形式やフリーマーケット形式などで、日本全国の一般家庭から中古衣類が放出されるようになった。
<購入ルート>
・実店舗(対面型)
古くからある一般的なルートで、自らが店頭に赴いて店員と対面して購入する。店頭にある在庫のほか、オーダーして注文することも含む。新品衣類の店舗としては、デパートなどの総合百貨店やブティックなどの路面店、個人経営の洋品店などがある。
昭和の時代は、衣料品店などでは新品衣類を販売するのが原則で、中古衣類はブランド品など価値のあるものは質流れ品として質屋などで売りに出されていた。それ以外のほとんどの中古衣類は、お下がりで譲渡されることがなければ、リメイクされるか、ゴミとして捨てられるのが常だった。
現在では、資源リサイクルへの関心も高まり、中古衣類はブランドや価格にかかわらず、リサイクルショップや古着専門のリサイクルブティックなどへ持ち込まれる。そして、きれいなものはリユース目的でそのままの形で販売される(ものによっては海外へ送られたり、ウエスや原料へリサイクルされる)。
リサイクルショップでは、一部の制限があるものの、ありとあらゆる衣類が扱われている。
リサイクルショップでの買取りは重さで値段を決められるところが多く、ゴミとして捨てるよりはマシという着用者の自己満足にすぎない。それでも店頭に出されるときは1着ずつ値段が付けられ、購入者は店頭でひとつずつ吟味して買っていく。
たいていは自らが着用するために選ぶ客が多く、特に子ども服は人気が高い。
ただ、単純な着用目的とは限らず、リメイクするための生地取り用として購入する場合も少なくない。特に大きな生地が取れるワンピースやスカート、コートや、色柄が斬新な振袖や小紋の着物、チャイナドレスなどの民族衣装が人気だ。演劇などのイベント用に使うドレス類も使い捨てられるかのように安値で購入されていく。
和服の場合は、価値の高いものが多かったせいか古くから古着市場が確立しており、中古着物を扱う店が存在していた。そののち、大正時代や昭和初期の着物がアンティーク着物として重宝されるようになると、アンティーク着物専門店が登場するようになる。
現在はこれらに加え、一般の洋服を扱うリサイクルショップなどでも和服が投げ売りされていたりする。和服じたいの価値が下がったことと、和服の価値を理解できない人が増えたことによるのだろうか。
学校制服の場合は、新品はデパートの制服担当売り場や制服専門店で購入する。毎年2~3月の新調シーズンになると、新入生向けに案内が出され、デパートでは売り場が拡張される。学校指定日に校内で採寸が行われることが多い。生徒たちは、ずらりと並んだサイズ別の制服を試着し、袖丈や着丈など希望があれば調整してもらう。これらをフィッティングと呼ぶ。代金は前払いで、後日、宅配便で自宅へ配達されてくる。
その昔、新入生や在校生でなくとも指定制服を入手することが比較的容易だった時代もあった。体験談は当サイト内に掲載の通りだ。しかし、昨今では悪用防止のためと称して、入学許可証や担任教師の許可証などがないと購入できないことが多い。
ところで、以前ではあまり考えられなかったが、リユース用として、中古制服を販売している店も増えてきた。こうした店はブルセラとは異なり、新入生や在校生が着用するための制服を提供する。なので、悪用を避けるために、購入者の身元確認や入学許可書の提示を求めることが多い。
リユース目的としては他に、学校PTAやOB会などが主催する校内リサイクルや学園祭バザーなどでも割安で販売している例がある。校内リサイクル会では入場するときに身元確認があるが、学園祭では部外者も入場できる学校もあり、そうなれば、保護者面してバザーで制服を購入するつわものもいるようだ。
1980年代後半ごろからだろうか、アダルト目的で中古制服などを販売する店も登場している。ブルマ・セーラー服の略で、ブルセラショップなどと称している。入店は性質上18歳以上としているが、それ以外には購入することに規制はない。
同じ制服でも企業制服は様子がかなり異なる。
店舗(通信販売含む)で購入できるのは、汎用のOL制服やレストラン制服の新品のみで、特定の企業制服は部外者は入手することはできない。企業によって、制服の支給も、無償・有償での支給のほか、貸与という形式をとることも多い。
・通信販売(非対面型)
TVやラジオでの通販、あるいは、カタログ販売などは古くからある手法である。実物を見ずに購入するので、サイズが合わなかったり、着用時のシルエットや生地質などが想像と異なっていたりというリスクがある。だが、比較的割安感があり、地方など店舗の少ない住民たちにとっては便利な購入方法だ。
購入後未使用に限り、既定の期間中に申し出れば返品も可能であることが多い。
男性にとっては、対面せずに済むし、女性衣類を購入する際の言い訳なども不要なので、気軽に購入できるルートとして、新品購入には重宝されてきた。ただ、生地質にこだわりがある者にとっては、好みのものに出会うまで苦労することもしばしばだ。
そのほか、家族と同居している者は、秘かに受け取るために様々な工夫が必要だ。もっとも好まれる受け取り方法は、郵便局留めまたは宅配センター止めであろう。
・ネット販売(非対面型)
インターネット普及とともに主流になっているオンライン販売での購入方法である。アパレルメーカーなども実店舗以外にオンライン販売サイトを持っていることが多く、そこそこ活況を呈している。特に新型コロナの影響で、実店舗の売り上げよりもオンラインのほうが好調というところもある。
ネット販売という形式も、厳密にいえば通信販売のひとつだが、以前の通販に比べて特徴的なこのは、ネットオークションやネットフリマなどの登場で、中古衣類が個人間で売買されるようになったことだ。
以前は、着古した女性衣類なんてほとんどがゴミとして捨てられていたが、それが1点から売買されるようになった。個人の出品者が出している衣類を見ると、なぜ手放されることになったのかと考えてしまう。年齢的に似合わなくなったとか、サイズが合わなくなったとか、飽きたとかいろいろあるだろうが、どんな理由であれ、元の所有者に見捨てられるわけだから切ない気分になる。
画期的なことは、こうしたルートに中古制服が乗るようになったことだ。少し前にはブルセラショップが担当していた領域を、ネット市場も担当するようになった。ただ、あまりに行き過ぎたせいか、現在ではネットオークションやフリマの大手総合サイトでは中古制服の売買を禁じている。それでも、隙間をぬってまだまだ売買は活発に行われている。
また、こうした大手を避けて、制服専用の売買サイトも存在している。もちろん、これらは所定の手続きを踏んていれば違法なものではない。
受け取り方法についても、郵便局留めやコンビニ受け取りなど自宅への配達を避ける方法があるので、同居家族に知られずに入手することは可能である。
<譲渡ルート>
ここでいう譲渡とは、無償で入手する場合をいう。すぐに思いつくのは、家族や親せき間での譲渡だろう。姉が着た女児服を妹に着せるというのは「おさがり」と呼ばれるが、着用者が移行するという点で譲渡に含めよう。そのほか代表的な例は、和服などを親から子へ引き継いだり、ワンピースやコートなどを姉妹で譲り合ったりするものだ。友人同士というのもありうる。
学校制服だと、幼稚園や小中学校に多いと思うが、おさがりと称して、上の子から下の子へと半強制的に使われたりする。使い込まれた例としては、三姉妹で9年間使われた中学校制服というのを知っている。ママ友どうしなど保護者の間で譲り合い、行ったり来たりでボロボロになるまで使い続けられる制服もある。個人間でなくとも、校内のリサイクルルームを経由することもあろう。被災地への寄付というのもあるだろう。
また、何らかの理由で着ていく制服がなくなり、卒業式までのつなぎとして学校に保管されている予備制服を借りるなどの例もある。
企業制服の場合は、譲渡と呼ばずに、供与として社員に提供されることがある。企業によっては、追加分を有償としていたり、最初からすべて有償だったり、あるいは貸与だったりする。退職時の返却義務は様々で、有償のものであっても返却しなければならない場合があるので注意を要する。
<その他ルート>
・拾得
落ちていたものを拾って自分のものにすることだが、多くはゴミ集積所に捨ててあるものを拾ってくるという例だろう。ゴミだからよいかというとそうではなく、刑法254条に「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する」という規定がある。たとえゴミであっても許可なく持ち帰ってしまうと、遺失物等横領罪(占有離脱物横領罪)に問われることがあるそうだ。
また、マンションなどの集積所だと管理者、住居地の条例によっては自治体の所有となることもあり、その場合は窃盗罪を問われることもあるようなので注意が必要である。
これらの規定は以前から存在していたが、昨今ではゴミも資源の一部であるという認識が強くなり、ゴミ集積所に集められているものも厳しく管理されるようになっている。
ゴミ集積所の横などに衣類が吊るされていて、「ご自由にお持ち帰りください」というメモ書きが付けてある場合がある。これは文字通り自由にしてもよいのだろう。「必要な方へ」という言葉が付け加えられていてもお構いなく、私服スカートや学校制服、ブラックフォーマルなど引き取ってきたことがある。
・レンタル
レンタルは有償で一定期間に貸与し、返却義務があることを指す。厳密には入手ではないが、一定の期間だけでも自分の手元に置いておけるという意味でここに加える。
ウエディングドレスやフォーマルウエアを中心に、短期間でレンタルする業者は以前からあった。ウエディングドレスを式場で借りる場合は、写真撮影と式当日のみというケースが多いだろう。冠婚葬祭の衣装で業者から借りる際は、多くが使用当日を挟んで2泊3日の貸し出しだ。昨今では、ウエディングドレスや振袖を数か月の長期で貸し出す業者もある。式のほか、披露宴やパーティを複数回に分けてやったり、写真撮影なども別撮りで自由にしたいという希望を叶えるためだろう。
観光地などで、和服や浴衣、現地ゆかりの民族衣装などを着せてもらって写真を撮ったり、街を散策したりするというシステムもある。この場合は時間制限か1日レンタル、せいぜい1泊2日となる。着付けまできちんとやってくれ、写真撮影も料金に含むというところもある。
最近では、おしゃれ着や日常着を1日だけレンタルするというサービスもあるらしいし、学校制服でも、卒業までの僅かな日数だけ借りるという生徒もいるとか。
企業制服で会社から貸与という形態をとるところも多いが、これはほとんどの場合、無償貸与される。退職時に返却しない、あるいは紛失したなどというときは実費を請求されることがある。
なお、レンタルシステムは、従来は店頭に赴いての対面型が主流だったが、現在ではネットの普及により申し込みはオンラインで行い、受け取り・返却は宅配便で行うという非対面型のものも存在する。
ほかに「盗む」という行為があるが、所有者はもちろん、衣類にとっても大変な被害を被るので、絶対にやってはならない。所有者は心の傷が残るし、盗られた衣類たちにとっても恐怖でしかない。特に性欲解消目的で盗まれた制服などは、犯人に何をされるか分からない。
犯人が捕まって、盗まれたものが戻ってくることがあるが、元所有者は気持ち悪がって受け取りを放棄することも多いという。いきなり拉致された制服が、解放されても帰るところがない。何の罪もない制服たちが哀れだ。
ここでは特に使用目的を問わず、アイテム別に特有の事情なども考慮して、それぞれの入手方法について述べる。入手に至るきっかけや心情なども盛り込みたい。
なお、記事中に固有の店舗やサイトなどが掲載されている場合があるが、いずれも購入を推奨するものでもなければ、評価を下しているわけでもない。購入に際しては各位の自己責任でお願いしたい。
ここでは主に、男性が性欲解消など日常着用以外の目的で女性の衣類を入手することについて考察してみる。
現代はインターネットが当たり前のように普及していて、リサイクルショップやブルセラショップなど中古衣類を扱う店も存在している。だが、そういうものが無かった時代は、男性が女性衣類を購入するのは勇気のいることであり、そもそも中古衣類、特に制服を入手するということはほぼ不可能に近かった。
過去から現代まで、私自身の経験も交えながら解説する。
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最終更新日:2024年11月12日
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