処分されるとき

衣類たちは人間の都合で、あっさりと処分されていく。

家庭にある衣類が処分される時期でまず考えられるのは、年末の大掃除のころだろうか。

次いで、年度末の3月ごろ。学校を卒業した子供を持つ家庭は、一つの区切りとして制服や私服を処分する。企業においても、古い制服を処分したりする。

その次に考えられる時期は、ゴールデンウィーク前後だろうか。年度が替わって落ち着いた頃に綺麗に片付けるのだ。

ほかには、6月と10月の衣替えのシーズンかもしれない。特に10月ごろは夏服を処分するタイミングとなる。

各自治体で衣類の回収月を決めているところでは、それが一つの目安となる。

 

衣類として好ましいのはリユースで、衣類の形そのままで他の誰かに再び着てもらえることだと思う。そうでない場合、世の中の役に立つとすれば、粉砕されて原材料に戻される道がある。こなごなに形がなくなってしまうのは悲しいが、生まれ変われるのだからまだ良しとしよう。

哀れなのは燃えるゴミとして処分されてしまうことだ。特にまだまだ着用できるものが焼却場送りにされていくのは、想像しただけで悲しい。

もっと悲惨なのは男性フェチに捕まった女性衣類かも知れない。


ゴミ収集車

動画サイトに衣類がゴミ収集される様子がアップされている。

コートやダウンジャケットたちが、ゴミ収集車に無造作に放り込まれていいく。こんな様子が日常的に繰り広げられているのだ。どの衣類も助けて~と叫んで抵抗しようとしている。でも、逃げることはできない。助けてやりたいけど手遅れ。人間は残酷だ。


処分直前の衣類たち

↓処分候補として床に投げ出されたサテン衣類たち。一枚一枚手に取ると、それぞれとても魅力的な生地だ。

↓燃えるゴミに出されることが決まった私服、制服、そして花嫁打掛。


↓可憐なサテンロングドレスも用済みとなったら、もうハンガーに掛けられることはない。眩しいライトを浴びて輝いた日はいつのことか。

↓本来は和服用の畳紙に一枚一枚包まれ、桐のタンスに保管されるべきだが、古着扱いの和服は適当に積み上げられ、処分の日を待つ。



ダウンコート

衣類を処分する方法は色々あるが、リサイクル目的であれば自治体の衣類回収に出すか、リサイクルショップに持ち込むかであろう。しかし、ダウンコートのリサイクルは難しいらしく、衣類回収の対象外になっていることも多い。近くにリサイクルショップがなければ、そのまま燃えるゴミとして処分するしかない。

↓コート類はその形状ゆえに女体を想起させるので、投げ出された姿を見るといっそう哀れに感じる。

↓フードもふんわりしていてうつ伏せにすると、女性が寝ているかのように見える。これらはすべて明日の燃えるゴミの日に出されてしまう。


↓リサイクル工場に送られても、ボタンやジッパー類は取り除かれ、裏地も切り取られていく。生殺し状態で最後は鉄の爪で切り裂かれて粉砕される運命である。




学校制服

制服類も一般的な衣類回収の対象外とされることが多いので、リユースに出さない場合は、燃えるゴミとして処分されることが多いようだ。

その際、各家庭では、個人情報を徹底的に守ろうとする。名札はもちろん、ネーム刺繍やタグなどは切り取る。なぜかボタンやジッパーも切り取ってしまうことがある。いたずらに持ち去られることを恐れているのだろう。もっと徹底して、生ゴミと一緒にしたり、醤油や油を掛けて、再起不能な汚し方をしたり、真っ二つに切り開いたりもする。そこまでやると、いかがわしい行為に使われることもなく安心だ。



キャビンアテンダント 機内サービス用エプロン

航空会社のキャビンアテンダント(CA)が機内サービス時に着用するエプロンは、制服と同じように一定数支給されるが、制服アイテムとしてはまさに消耗品そのものだ。一見優雅に見える機内サービスだが、仕事は飲食店のウエイトレスと大きく変わらない。いや、自分で調理(温め)・配膳などを行うのでウエイトレス以上に汚れる仕事をしている。それをエプロンは受け止めなくてはならないから、汚れは酷いし、最初に数枚支給されていても追いつかなくなる。

基本的には会社もちでクリーニングするが、目立った汚れが取れないと容赦なくポイされる。