中高一貫校

私立校を中心に、中学校と高等学校で一貫した教育を施す制度を整えている学校が多くなった。中学1年生で入学した学校で6年間を過ごすことになるわけだ。高校1年からの入学生枠を別に持つ学校もあれば、高校からは新規入学生を迎えない学校もある。

制服については、中学校と高校で採用パターンがいくつか分かれている。

 

1)全く異なるデザインのパターン

両者で全く異なる制服を採用しているパターン。

中学校でセーラー服、高校ではブレザー型など、両者で全く異なるコンセプトの制服を採用している。なので、校章などを見ないと同じ学校の生徒とは一見して分からない。

制服にとっては、それぞれが3年間使われるので、一般の中高と扱いは同じであるが、高校に進学しても在籍する学校は同じなので、中学校の制服は校内のリユースシステムに載せられやすい傾向にある。

例)昭和女子大学附属

 

2)統一したイメージを取り入れているデザインのパターン

制服のデザインは中高で異なるが、色やフォームなど統一イメージを持たせているパターン。両者とも同色のブレザー型で、襟や裾の形状を変えている等。結局はデザインが異なるので、中高それぞれ3年間の着用となる。

例)京都ノートルダム女学院

 

3)一部を変えているデザインのパターン

制服のデザインは中高とも同じだが、一部を変えているパターン。

セーラー服のラインやスカーフの色、スカートの色柄を変えている等。

制服本体は中高で変わらないので、サイズに問題がなければ6年間着続けられることになる。

例)土佐女子(スカーフ留め)、聖女子学院(スカーフ)、東京女子学園(スカート)

 

4)同じデザインのパターン

中高とも同じ制服を採用しているパターン。サイズに問題なければ、中学校入学時に新調した制服を高校卒業まで着続けることができる。制服にとっては6年ものあいだ酷使に耐えなければならない。

例)武庫川女子大学附属、東邦音楽大学附属、聖心女子学院、神戸松蔭、横浜女学院


武庫川女子大学附属

↓武庫川女子大学附属中高は、中学校に入学してから6年間同じ制服を着用する。中学と高校で異なるのはセーラー服の胸ポケットにつける色違いの校章だけだ。

同校の制服は一般的なサージ生地で、カシドス生地よりテカリは目立ちにくいのだが、サイトにアップされている卒業記念の写真を見ると、さすがに6年間使い込まれた制服はテカリが激しいし、よく見るとカフスなどの摩耗がひどい。スカーフはシルク100%のか弱い生地で、途中で買い替える生徒も多いようだが、それでも卒業式を迎えるころにはクタクタになっている生徒も少なくない。

画像:Twitter @maurora

↓中学校から高校へ進学したとき、変わるのはセーラー服の胸ポケットにつける校章バッジだけだ。写真の緑色のバッジは高校のもの。中学生は赤いバッジをつける。

↓卒業生のセーラー服のカフスはあちこち擦り切れていて痛ましい。


↓シルク100%のスカーフは傷みやすいし色褪せもしやすい。手垢や汗に汚れ、日に焼け、風雨にもさらされるので、か弱い生地は6年ももたない。写真の左は以前使用されていた縫い閉じタイプで、右が現在使われている長方形タイプ。



聖心女子学院

冬服は特徴的な色柄のスーツだが、中等科と高等科で同じ制服を着用する。ブレザーは明るい色合いなので汚れが目立ってくるし、スカートはテカリだけで済まず、プリーツの山も擦り切れてくる。変色や日焼けも激しい。



神戸松蔭

夏服・冬服ともワンピース型の制服で有名な神戸松蔭も、6年間同じ制服を着る。冬服は襟とカフスに白いカバーを付け、都度交換できるので、襟周りやカフスの傷みはあまりひどくならない。しかし、お尻の部分を中心にテカリが強く出るのは避けられない。

同校は高校からの入学も可能なので、高校から入った生徒の制服は、もっと着てほしかったと中学組の制服を羨ましく思っているかもしれない。

↓写真は2023年3月に卒業式を迎えた生徒の教室でのひとコマだ。制服はもちろん、ところどころに写るカーディガンやロングコートもこの日を境にお役御免となる。

↓卒業生の制服は替え襟とカフスカバーのおかげで痛みは意外と少ないが、冬服のテカリは激しい。夏服は洗い替えで2-3枚購入している生徒が多いらしく、比較的マシな状態で残る。