セーラー服の襟と胸当て

セーラー服には独特の大きな襟が付いている。一見してもっとも目立つ違いは襟に付いているラインの種類で、色や本数などさまざまなバリエーションがある。

また、前から見たときに、襟のV字の長さや胸当ての有無などにも特徴が出る。

これらに生地の色や材質、織り方、スカーフの種類等が加わって、セーラー服のデザインとしてほぼ無限に近いバリエーションが生まれる。

セーラー服の襟はその大きさゆえに、後ろから引っ張られることがある。女子同士がふざけ合って引っ張ることは日常茶飯事だ。また、強い風が吹くと煽られる。

襟が背後から強く引っ張られると、それに連動して、前側の胸当てや合わせ部分のスナップボタンが外れることがある。

 

テレビのドラマやバラエティ番組などでは、セーラー服の襟を正面から掴む場面も見られる。この場合も強く引っ張られると、スナップボタンが外れやすい。また、前開きでないセーラー服であっても、正面のV字の底部分は構造的に弱く、襟を掴んで左右に引っ張ると意外と簡単に裂けたりする。襟周りはセーラー服の急所であると言えるだろう。

 

また、襟は意外と汚れやすい場所でもある。

女子に着用されていると長い髪の毛が襟に付くので、頭髪による汚れも目立つ。頭髪による汚れと首周りの汚れの対策として、襟に襟カバーをつけることを採用している学校もある。襟カバーは取り外し可能で、適宜洗濯することが出来る。多くはボタン留めだが、マジックテープ留めのものもある。


三ヶ日中学校

もっともセーラー服らしい白線3本の制服である。

襟の形状も標準タイプで、ライン入りの胸当てが付いている。

ラインは「平テープ」タイプ。

↓左から、冬服、中間服、夏服だが、デザインはいずれも同じ。

↓胸ポケットのスナップボタンは名札をつけるためのもの。


↓このセーラ服の場合、胸当ての裏にも裏地が付いていて、裾までの長さがある。

セーラー服によっては、胸当てが三角形のような形状だったり、裏地が無かったりする。

↓後ろの襟からスカーフがちらりと覗いている姿は個人的には好きだが、スカーフが三角形でないと画像のようにうまく出せない。チラ見セするか否かはスカーフの締め方次第だが、構内での流行にもよる。

また三角性でもスカーフのサイズが小さい場合は出すのは難しい。




東京女子学院幼稚園

この幼稚園は東京女子学院という名称だが、男女ともに入園でき、男子も女子も同じデザインのセーラー服上衣を制服としている。女児から男児へのお下がりも頻繁に行われていると見え、両方の名前が手書きされている上衣も見られる。男子が堂々と女子と同じセーラー服を着られるとは、貴重な体験である。

セーラー服の胸当てにラインはなく、前を開くと右側についている。裏地も付いている。





高知商業高校

ブラウス生地の中間服に紺色の襟というのは個人的に好ましいと思うデザインで、清純な女子高生を思わせる。大きな襟に下に艶やかなスカーフが隠されている。

このセーラー服の襟の裏には裏地が付いていて珍しい。胸当て無し。



國學院久我山高校

冬服で白色(あるいはクリーム色)のセーラー服というのも珍しい部類に入るが、それでも襟は紺色になっていることがほとんどである。

このセーラー服では冬服の後ろ襟のラインのコーナー処理がループになっている。ラインは蛇腹タイプ。

このような白系の冬用セーラー服は実際に見ると汚れが付きやすく、3年間もつのかなといつも思う。実際に中古品を手に取ると、表地は擦れたような黒ずみが目立ち、裏地も白いがゆえに汗染みや黄ばみが多数見られる。逆に言うと、濃紺のセーラー服も同じように汚れているわけだが、目立たないのでクリーニングもおろそかになるということか。



大阪教育大学附属池田中学校

冬服は赤2本線で、後ろ襟のラインのコーナーがクロスになっている。夏服のラインは白色2本で、袖にもラインあり。夏服と冬服のラインの色が異なる例はよく見られる。




曳馬中学校

「じゃばら」タイプのラインだが、ライン間の幅が広く、後ろ襟の裾の処理が珍しい。夏服のセーラー服も同様である。冬服はカフスも縦方向に入っている。




様々なセーラー服

↓香川大学附属中学校

やや太めのラインが2本入っている。襟は狭いのに胸当てが付いている。

↓宮ノ陣中学校

襟と胸当てに赤いラインが3本入っている。赤いラインのセーラー服には赤いスカーフが添えられていることが多い。



↓堺市立某中学校

濃紺のセーラー服なのに紺色のラインだときわめて地味な印象だが、このような場合は上に襟カバーを重ねることが多い。カフスにラインがないのでさらに地味に見える。

胸当てには校名のイニシャルが刺繍されている。

↓公立某中学校

襟とカフスに紺色のラインがあるが、襟には襟カバーを付けるのでむしろラインは要らないはず。


↓清水谷高校

襟カバーを重ねるセーラー服は数多い。多くは白色または水色である。襟カバーにはセーラー服と同じ色で本数のラインが入っている。

多くはボタンまたはスナップボタン留めで、取り外し自由であり洗濯も気軽だ。



熊取中学校

卒業記念に全身に刺繍を入れられたセーラー服だが、邪魔だったのか、もともと2本あったラインが、カフス部分も含め、すべて取り外されてしまっている。

胸当ての裏側は裏地なし。刺繍も入れられていない。

↓ぐるりと刺繍が施されたセーラー服。これはまだ大人しいほうだ。

↓後ろの襟や背中にも刺繍が入れられている。もともと2本ラインだったが、きれいに外されている。


↓刺繍は裏地にまで貫かれ、裏返すと痛々しい。幸い、胸当てだけ刺繍がなく無事である。



取り外し可能な襟

夏服や中間服で襟が取り外し可能となっているものはあるが、冬服で取り外しができるものは珍しい。セーラー襟は首筋の皮脂や髪の毛のフケで汚れやすいが、冬服はたびたび洗濯できるものではない。冬服でも取り外し可能な仕様は着用者にとってはありがたいだろう。

画像:ヤフオクj_land_oraf