買った者の自由

衣類は人が生み出したものであるから、原則として誰かの所有物であり、それをどのように処遇するかは所有者の自由である。当然、人間に生来備わっている基本的人権のようなものは、衣類たちには無い。

だから、お金を出して購入した者がその衣類をどう扱おうが自由であり、引き摺ろうが引き裂こうが第三者が口を出す権利は無い。だからこそ、可哀想な衣類を見ると手を出せない歯がゆさを感じるのだ。

テレビのバラエティ番組で、お笑いの大御所が目の前にあったブルマを頭に被ったことがあった。それを見た弟子が「そういうのテレビで止めてくださいよ」と軽くたしなめたのだが、大御所は、「そんなの、カネ出して買った者の自由じゃねぇかよ」と言い放ったのだ。

そうか、お金で買った物ならば、その人が何をしようと文句は言えないのだ。

「買った者の自由」、それはとても残酷な言葉だと思った。