岐阜県立斐太(ひだ)高校(高山市)では、白線流しと称して、卒業式の日(例年3月1日)の正午ごろに、女子生徒のセーラー服の白いスカーフや男子生徒の制帽の白線をつなげて川に流すという行事が行われる。80年ほどの歴史があるそうだ。男子のみの旧制中学時代は学帽の白線だけが流されていたが、のちに共学になって女子が加わるとセーラー服のスカーフがこれに参加するようになったらしい。固く括られたスカーフが、まだ3月の冷たい雪解け水に流されていくのだからスカーフも凍えるだろう。スカートの下から覗く女子の生脚が寒そうだが、スカーフは雪解け水にさらされてもっと辛い思いをしているはずだ。
スカーフフェチのみならず、セーラー服に関心のある人にとっては気になる行事である。写真から察するに、白いスカーフは意外と大判サイズだ。
なお、以下の記事では男子の制帽白線については割愛している(笑)。
画像:NAVERまとめ
画像:閑話休題 twitter
画像:閑話休題 twitter
流されたスカーフは、下流で在校生によって回収されるとのことである。回収されたスカーフは、以前は校内理科棟4階の大教室で乾かしてボランティア団体へ寄付していたそうだが、今は乾かしてから処分されてしまう。
卒業生の証言によると、2004~2006年頃には寄付が行われなくなったそうで、乾かしたのち、校舎裏のゴミ置き場行きになり、その後、数日以内に廃棄処分となったそうである。昨今は容易に燃やす場所もないだろうから、そのまま燃えるゴミとしてだされるのであろうか。おそらく固く結ばれたまま・・・。何と哀れな最期だろう。
また、寄付していたころ、受け入れ先はユニセフだったとの話もある。寄付されなくなった理由はユニセフ側から断られるようになったらしい。
そもそも寄付されたスカーフはどうなっていたのだろうか。リユースかリサイクルか、その先に謎が残る。
ちなみに白線流しの準備を担当するのは2年生たちがメインで、案内係、足場準備係、回収係など各クラスから選出される。回収係は各クラス2名ていどだそうだ。このルールは時期によって異なり、生徒会役員や体育会系の部活部員などが担当していたこともある。
3月初旬の高山はまだかなり寒いらしく、川にも雪解け水が流れているだろうし、大変な作業になるようだ。
↓川下で回収されて束ねられたスカーフたち。もう二度と女子生徒の手元に戻ることはない。冷水にさらされて、スカーフたちもぐったりしているようだ。
画像:ブログ文化祭見学記
この高校の制服は、夏服冬服ともにセーラー服なのだが、夏服セーラー服には紺色のスカーフをつける。長袖の中間服もあるようだが、それらにつける紺色のスカーフは、冷たい川に流されることなく命拾いをするというわけなのだろうか。
↓地元制服店に展示されている冬服。
画像:有限会社まるじん
↓制服店店頭に展示されている半袖の夏服(中央)。
画像:B.B.L.T ブログ
↓長袖の中間服。「ヒロミチナカノ」ブランドもあるらしい。
画像:機械仕掛 twitter
セーラー服上衣は半袖の夏服、長袖の中間服、そして冬服があり、すべて濃紺の襟に3本のテープラインだ。胸当てもあるがラインはない。左胸に切りポケットがある。いずれもジッパー留めによる前開き仕様である。スカートは28本の車ヒダで、夏冬ともに裏地は無い。スカーフはポリエステル製が一般的らしい。ポリでなければナイロン製だろう。おそらくシルク製のものはないはずで少しホッとさせられる。
私立高校のセーラー服だとシルク100%製のスカーフを採用しているものもあり、それは光沢感や手触りもうっとりするほど素敵で、見るからにか弱い乙女という感じがする。それを括りつけて川に流されるとなると、考えるだけで身もだえしてしまう。そもそもシルクは水に濡れるだけで損なわれてしまう。
話を斐太高校に戻そう。ネット上の様々な画像や動画を観るに、同校のスカーフは大判のようだ。流されるときの見栄えを意識したわけではないだろうが、在学中に女子生徒の胸元でふわっと結ばれていたものが、紐のように扱われるのは何だか悲しい。
ほとんどすべての女子は、卒業時点で白線流しにより冬服のスカーフを失うことになる。それゆえ同校の制服が中古市場に出ていたとしても、白いスカーフは欠品になっているという話を聞くと生々しさを感じてしまう。セーラー服は、スカーフといつまでも一緒にいることができないという哀れな運命を背負わされている。
年度によっては、川の中に飛び込む女子もいたとか。セーラー服も冷たい水にさらされるとは・・・。
↓写真は中古品として出品されていた同校の夏冬制服。白いスカーフは参考品で純正ではない。
商品説明によると仕様は次の通り。
冬上衣=表地:毛70%ポリ30%、裏地:ポリ。
夏上衣=表地ポリ65%綿35%。
冬スカート=車ヒダ28本、スライド式、丈57cm、表地:毛50%ポリ50%、裏地なし。
夏スカート=車ヒダ28本、スライド式、丈53cm、表地:タグ無しで不明、裏地なし。
参考スカーフ=白、ナイロン製。
純正スカーフ=紺、ポリエステル製。
制服ブランド:「ROCONAILS」
画像(上2点):制服市場 ささのゆ
↓ROCONAILブランドのセーラー服のタグ。写真は他の制服のものでご参考。斐太高校のセーラー服がすべてこのブランドとは限らないが、女子生徒たちの制服の襟にこのタグが付いているものが存在する。
画像:ヤフオク hir*
↓中古制服ショップに買い取られた制服は、このあと、どこでどのような境遇の下で暮らしているのだろうか。この写真のように平置きすると、スカートの28本ヒダは一般的な24本ヒダよりやはり細かい。参考品であっても白いスカーフが付け戻されて、セーラー服も少し喜んでいるように見える。
このほか同校の公式サイトには、制服姿の女子たちの様子が多数紹介されているが、写っているセーラー服のスカーフたちは、卒業式の日に白線流しに供されるのかと思うと、胸が詰まる思いがする。
たとえば、下の画像はいずれも修学旅行に興じる2年生の生徒たちだが、あと1年半もすれば、この子たちのスカーフも冷たい川に流される運命だ。
画像(上2点):岐阜県立斐太高校サイト
娘さんが同校を卒業した方のブログ(2010/03/10付)には、娘さんが着用していたセーラー服の画像があった。
ブログには、「娘のセーラー服にはもうパータイ(スカーフ)はありません。よくぞここまで育ってくれた。すでに旅立つ準備はできたようだ。4月から娘は進学して東京へ・・・」とある。
このセーラー服は、冷たい川に流されていくスカーフを目の当たりにして、何を思ったであろうか。そして、このセーラー服はこのあとどうなったのであろうか。
画像:ブログ飛騨ふらい工房
2021/11/04 festa様より寄稿
白線流し見たくて・・・長年の夢でしたが、今どきは現場に行ってガン見することははばかられる世の中ですので、誰にも見られる事の無い、限りなくプライベートな河川で実践しました。
実際には3月の行事ですが、自分でやってみることにしました。
ナイロンとポリエステルの白の三角スカーフを結んで川に流しました。(流した後は回収しています。)6枚くらい水に浸かるととっても重い手ごたえ、釣りで大物がかかったイメージです。こんなにテンションが掛かると、実際は10枚以上繋げるので、ナイロンやポリエステルでないと生地が千切れて流されてしまうのではないかという程の力でした。
水に泳ぐ白スカーフを堪能した秋のひと時でした。
(そのときの様子を)皆さんに見ていただきたいと思います。
一人でスカーフの片方を持ちながらの撮影なので、良い画ではありませんが・・・
後で見るともっとアップで撮りたかったと思っています。動画を撮りながら静止画ボタンを押しましたので、ぶれてもいて反省点です。
いずれまたやってみたいと思います。
6枚くらい流したところで、水流で引きが強くなるので、固く結んでいないと本当に分離してしまいます。
実際の報道やドキュメンタリーでもスカーフ・生地が可哀そうなくらい強く引っ張って結ぶのが不思議でしたが、それも必要性があって伝えられていることだとわかりました。
(うら爺コメント:たいへん貴重な実証実験のご報告、ありがとうございます。流されるスカーフにそれほどまでに大きなテンションが掛かることは想像もしていませんでした。YouTubeのニュース動画を観ると、校章を模したフロートのようなものを付けて流しているし、スカーフもクラス単位で繋げているようなので、相当な力になるのでしょうね。途中でほどけたらそれこそ縁起が悪いでしょうから、二度と取れないように渾身の力で縛っているのですね。おかげさまで、スカーフの哀れさがいっそう感じられるようになりました。
いやしかし、見方を変えると、3年間懸命に女子生徒のために働いてきたスカーフなのに、ほとんど顧みられなかったことを思うと、この行事では主人公のように注目され、最期に生徒たちに感動を残すのですから、うっかり中古市場に流出して性欲解消の玩具になるよりはスカーフたちも幸せなのかもしれません。)
伝統ある行事だけに毎年メディアも注目している。
動画を観ると、クラス単位でスカーフや白線をつないでいるのが分かる。先端には校章を模したフロートを付けているので、流れにも勢いが付き、スムーズに白いラインを描いて去っていく。
スカーフを抜き取られたセーラー服たちは、きつく縛られて流されていくスカーフを見て、何を思うであろうか。また、在校生のセーラー服に結ばれたスカーフは、どう感じるであろうか。
毎年繰り返されてきた行事だが、持ち主から強制的に引き離され、流されて消えていったスカーフはこれまでで何枚に上るのだろうか?
動画はこれらの他にもたくさん上がっているが、下流で障害物に引っ掛かって、いつまでも漂っている様子も痛々しい。
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最終更新日:2024年11月12日
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